殺陣(たて)とは
【映画、テレビなど映像作品や舞台などでの格闘シーンの際、武器を持っての演技をすること】
とされています。
また、素手での格闘を「擬闘」、時代劇の戦闘シーンを「時代殺陣」、現代劇の格闘シーンを「現代殺陣」とすることもあります。
殺陣は武術とは似て非なるものです。
もちろん、戦いの演技ということなので、武術を元にしてはいますが、
目的としては
武術は「戦うためのもの」
殺陣は「”戦い”を第三者に見せるもの」
誤解を恐れずに言えば
武術は「相手に怪我をさせるもの」
殺陣は「相手に怪我をさせてはいけないもの」
と言ってもいいかもしれません。
殺陣は危険を伴います。
しかし、だからこそ魅力的なんです。
殺陣はダンスではありません。
相手を倒す気迫が目に宿り、そして体を伝って刀や槍に宿るからこそ、
美しく、かっこよくなるものだと僕は信じています。
自分本位な殺陣
個人の経験上ですが、イベントなどにおいて
自分本位な殺陣をたまに見ることがあります。
ここで言う自分本位とは
ということです。
自分本位な殺陣は大変な危険を伴います。
打ち身程度ならまだ良いかもしれませんが、骨折やひどい場合には命に関わる事故も起きた事例もあります。
表現するのは楽しいことです。
しかし、危ないのは自分のパフォーマンスに熱中してしまうあまりに周りが見えなくなること。
そういったことも踏まえて指導ができるのは、現場を長く経験して生まれた多くの引き出しの中から、皆さんに伝わる言葉をしっかりチョイスでき、かつ、安全面、技術面の両面を考えることができるからです。
板(舞台)の上に立つ責任
舞台の上に立つ者には責任があります。
見てくれる人を楽しませる責任です。
もちろん自分が楽しむためのパフォーマンスを否定はしません。自分が楽しんでこそ、お客様を楽しませることができます。
でもパフォーマンスは見てくれる人があってこそ。
そして戦いを見せるパフォーマンスならば、相手に敬意を払い、安全に最大限配慮するからこそ成り立つものです。
自分が楽しければ良い、という姿勢は人前で演技をする者としては失格だと思います。
同様にかっこ悪くても配慮があれば良い、というのもプロ、アマ問わず、演技者として好ましい事ではないと思います。
そのためにはどうすれば良いか?
です。
もちろん一つ一つが「技術のいること」なので、
簡単ではないかもしれません。
だからこそ
稽古をします。
経験を持ち、手段を知っている人の意見を聞き、練習しましょう。
刀を振り汗を流し、立ち回りを通じ表現を知り
一緒に楽しく学びましょう。
その先には殺陣を通して、
共演者とのコミュニケーションの深まりや、
お客様の笑顔もあると思います。
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